『桜の頃に…』
例年より早く桜の開花の便りがあちらこちらから届いております。
おそらく来週あたりは満開を迎え見頃となる所も多いのでは?
4月・5月の陽気かと思えば、荒れたお天気でまだまだ寒い日もありますが、
確実に春はもうそこまでやってきているようです。
この世の中で何が起ころうとも、変わらぬ自然の営みの中で季節は移り変わり、
少しづつ変化しながらも、その時折々の美しい風景を見せてくれます。
そういう意味では、人の一生も日々の積み重ねの中で終わりを迎えますから、
短いような長いような時間の、今まさにこの瞬間を私たちは生きているわけです。
当会が発足して今年で18年。
決して短くはない時間を患者さんと共に歩んできたと思いますが、
癌という病気の相談を受ける中で、多くの“生”を見てきました。
毎日が苦悩と喜びが交錯する出来事の連続でもあります。
病気を克服されて、変わらずお元気に過ごされている方。
相談に来られた時点で、もう為す術がなく涙された方。
そして、今も、各々それぞれの物語が進行形で綴られていきます。
桜の花を見ると、妙にノスタルジックな気分に浸るようで…
この時期になるといつも思い出す患者さんがいらっしゃいます。
その方は、この桜の時期が大好きだと言われて、
「つぼみが膨らみ、花が咲き始めて満開を迎え、そして散っていく様は人の一生のよう…」だと。
「できればもう少しこの景色を楽しみたいので…まだまだ頑張りますよ!(笑)」
思えば、いつも患者さんのご相談を受けながら、皆さんから教わることも多く、
時には私たちが励まされ元気をいただくことも…。
「人は支え合って生きるもの…誰かのために何かができる、これが一番生きる支えになる」
今日もまた大切なことを聞かせていただき、思わず笑みがこぼれました。
咲き始めから散りゆく時まで、その瞬間で見せてくれる桜のそれぞれの美しさはまさに絶景ですから、
感染対策を万全にされながら、心ゆくまで愛でてくださいませ。