『発酵のお話』
5月もそろそろ終わり。
いよいよ梅雨のシーズンになりますが、今年は長梅雨でなければいいですね。
できるだけ快適に過ごせるよう、湿気・カビ対策など色々工夫されると思いますが、この「カビ」ですよ…
世界には約4万種類ものカビが存在すると言われており、ほとんどは有害なものです。
ただ、「発酵食品」に利用されている無毒なカビもあり、その代表的なものが、
学名で「アスペルギルス・オリゼー」と呼ばれる「麹菌」です。
味噌や日本酒、甘酒などのもとになる「麹」をつくり出していますが、この「麹菌」は他国では
ほとんど見られず日本にしか存在しないため、日本を代表する「国菌」と言われています。
他にも発酵に関わるものとして、「細菌」や「酵母」があります。
「細菌」には、乳酸菌とか納豆菌、酢酸菌などがあり、その代表的な発酵食品としてヨーグルトやチーズ、納豆、お酢など。
また、「酵母」の種類は約350種もありますが、発酵食品を生み出すために使われている酵母は
3~4種類程度しかなく、糖質やタンパク質からアルコールや炭酸ガスなどを発生し、
ワインやビール、焼酎、パン、味噌、醤油などがつくられます。
「発酵食品は体に良いから食べましょう」と、皆さんよくお聞きしますよね!
日頃、患者さんとの会話の中でも“食事療法の必要性”ということで話題に上りますが、
例えば、納豆菌から作られる「納豆」は、原料の大豆の高タンパク・低脂肪という特徴に加え、
発酵することでビタミンKやB2、水溶性食物繊維などの成分が大幅に増加しています。
乳酸菌による整腸作用や免疫力の向上などはよく知られていますし、
お酢は食欲増進に役立ったり、酢酸には脂肪の合成を抑え分解を促す働きもあります。
麹には100種類以上もの酵素が含まれており(酵素は栄養素を体に吸収させる手助けがある)、
腸内環境を整える働きもあります。
また、麹に含まれる「オリゴ糖」は腸で善玉菌の餌になり腸内で活発に活動してくれるため、
腸内環境が改善され免疫機能の向上も期待できます。
さらに、ビタミンB1・B2・B6などが豊富に含まれており、糖質やタンパク質などの栄養素を
効率よくエネルギーに変えて疲労回復を促す効果もあります。
このように、「発酵」は様々な健康に良い効果をもたらすだけでなく、
食材のおいしさや旨味成分、栄養価、保存性を高めるなどの作用もありますから、
毎日の献立に積極的に取り入れていきましょう!