『生存率と余命』
いよいよ12月も半ばになり、師走の慌ただしさを感じるようになりました。
年賀状もまだこれからだし、来週末はクリスマスだし、
年末の大掃除も少しずつ手を付けなければ大変だし…
「師も走るような忙しい月?」 正しい語源はよくわかりませんが、
そもそも「師」とは誰を指しているのか、お坊さんという説もあるみたいですけどね。
ただ、「師走」と聞くだけでなんとなく忙しい気持ちになるのは、皆さん同じみたいです。
先日、「今年もなんとかやり過ごせそうです(苦笑) 」と言われた患者さんがいらっしゃいました。
現在経過観察中の方でしたが、「生存率」のことを言われたようです。
“がんの5年生存率”という言葉、「厚生労働省の発表…」とか、「国立がんセンターの統計…」等、新聞やニュースなどで見聞きされることがあると思います。
この“生存率”、診断から一定期間後に生存している確率のことですが、
がん患者さんの治療効果を判定する指標とされており、特に“5年生存率”は部位別の生存率を比較する場合の指標として用いられています。
ただ、あくまでも比率であり、余命ではありませんから(時々勘違いされる方がいらっしゃいます)
また、「余命」という言葉も患者さんやご家族にとって大変気になることですが、
がんにおける余命は統計的なもので、患者さんの寿命を正確に予測できるものではありません。
同じ年齢の方が同じ病気になり、診断時のステージや治療内容が同じであっても、その後の経過は
皆さん異なります。 決して同じ結果にはならないのです。
だからこそ、統計的な“余命”に縛られては良くなるものも治らなくなってしまうと思います。
先述の患者さんも、確かに“5年生存率”を意識されていましたが、
「きっと良くなると信じて、できることは何でも取り組んでいきたいし、一年、また一年と経過
していくことを目標にしているんです」と、ご自身の励みとして捉えておられました。
“余命”もまた然り!
主治医が宣告した統計的な数字を覆した患者さんは大勢いらっしゃいますから!
日々、厳しい現実に直面されておられる患者さんからのお問い合わせが多く寄せられますが、
「できることがあるのなら、あきらめずにやっていこう!」
この気持ちが一番の支えになるようです。
残り少ない2022年ですが、この一年を振り返り、また来年に繋げていくこともあるでしょうから
せわしさばかりに気を取られずに、一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。