あきらめない!今日から始めるがん治療
内容紹介
ステージ3、ステージ4といった進行がん、末期がんと闘っている人たち。抗がん剤の副作用に苦しみ悩んでいる人たち。医師から「もう治療の手立てはありません」と宣告され、それでもなお「あきらめずに」奇跡を信じて奮闘している人たち。 ――そんな、今がんと闘っている患者さんならびにご家族の方へ。
低分子化フコイダンにかける思い
世の中には「がんに効く」「腫瘍がなくなる」といわれる健康食品が無数にあります。
新聞や雑誌などのメディアだけでなく、誰もが自由に意見を発信できるインターネットが普及した現在では、情報が氾濫していると言ってもよいかもしれません。というのも、これらの情報すべてが医学的、科学的に立証されているとは考え難いからです。
一部の人で症状が回復したり、基礎研究のレベルで有効だったとしても、本当に人間のがん治療に効果があるとは言い切れません。実証するには、投与の量や方法・機会などを検討する必要があり、そのためには時間も手間も、さらに多額のコストもかかります。科学者として、一つの著効例だけを頼りに進めていくことには不安もありました。
そこで、2003年、低分子化フコイダンを治療の一つとしてとり入れ、西洋医学や東洋医学などの区別なく統合医療を実践されている医師の皆さんとともに、〈代替医療と健康を考える会〉を発足させました。参加している医師は、私が九州大学に在籍していることから西日本の方が多いのですが、大阪、東京、北海道などにも思いを同じくする医師が増えつつあります。その会は、その後〈統合医療と健康を考える会〉に名前を改め、2004年からはNPO法人の認証を取得し〈NPO法人統合医療と健康を考える会〉として活動を続けています。さらなる研究の進化を目指し、2011年12月3日に第1回低分子化フコイダン(LMF)研究会も開催され、「低分子化フコイダン」を中心により深く研究し、複数の医師たちとともに患者さんを救済するべく切磋琢磨を重ねています。
私は科学者として基礎研究を行い、がん細胞のどこに低分子化フコイダンが作用するのか、低分子化フコイダンのどんな働きががん治療に効果を与えるのか、低分子化フコイダンと抗がん剤を併用した場合はどうかなど、低分子化フコイダンの確実なデータを積み上げています。そして、医師の皆さんは患者さんと向き合い、低分子化フコイダンを取り入れた治療を実践されます。定期的に会員が一堂に会する症例検討会を開催し、さまざまなケースについて話し合い、情報を共有します。そこでは低分子化フコイダンにより、「抗がん剤の副作用が軽減された」「進行のスピードが遅くなった」といった驚きの報告もあります。
現在わかっている、低分子化フコイダンのもつがんに関する作用は大きく分けて三つあります。「アポトーシス作用」「血管新生抑制作用」「免疫力強化作用」です。しかし、低分子化フコイダンは医薬品ではないため、病気がよくなるとは言えませんし、すべての方に効果があるとも言えません。ただ、がんに苦しむ患者さんの苦しみを、多少なりとも和らげているのは事実です。
私は低分子化フコイダンに大きな可能性を感じ、今も熱い気持ちをもって研究にとり組んでいます。
目次
著者プロフィール
白畑實隆【しらはた さねたか】九州大学大学院教授
1978年九州大学大学院農学研究科食糧化学工学専攻博士課程修了。農学博士。1987年米国オレゴン州立大学の生化学生物物理学科に訪問助教授として留学。
1989年から九州大学助教授。95年から九州大学大学院農学研究科遺伝子資源工学専攻細胞制御工学教室教授。2003年から九州大学大学院システム生命科学府生命工学講座教授併任。NPO法人 統合医療と健康を考える会理事。
取材協力
NPO法人 統合医療と健康を考える会
西洋医学における「がん」の三大療法(手術、抗がん剤、放射線治療)に限界を感じている患者に統合医療を実践している病院や医師を紹介しているNPO法人。また、統合医療を実施している医師や大学の研究者を集め、統合医療におけるEBM(データ、実証に基づく医学)確立のための症例検討会を実施している。活動の主な目的としては、1.患者自身の医療に対する関心の喚起、2.現代医療、医学会、大学、政府、医療機関への要望や問題提起、3.患者とその家族、一般の人々への統合医療に関する正しい情報提供、4.予防医学の普及、などである。
取材にご協力いただいた医師プロフィール(50音順)
川口 光彦【かわぐち みつひこ】
(川口メディカルクリニック院長)
1982年兵庫医科大学卒業後、岡山大学第一内科に入局。87年から3年間、肝細胞培養の基礎研究と肝臓病一般の診療に携わる。89年財団法人慈風会津山中央病院内科に赴任。93年医学博士号取得。96年津山中央病院消化器肝臓部門部長に就任。2006年医療法人川口内科副院長として勤務。07年医療法人川口内科院長(理事長)就任。医学博士。
河村 宗典【かわむら むねのり】
(特定医療法人誠仁会協和病院院長)
1938年山口県生まれ。64年神戸大学医学部卒業。医学博士。76年私立大久保病院創立(兵庫県明石市)。81年医療法人誠仁会協和病院設立(神戸市西区)、院長就任。85年電解還元水を取り入れた治療をはじめる。同時に九州大学大学院白畑實隆教授とともに電解還元水の解明に取り組む。がん治療に免疫監視療法(BRP療法)を導入。2005年8月フコイダンをがん治療に取り入れる。05年11月ハイパーサーミア(温熱療法)を導入。
喜多村 邦弘【きたむら くにひろ】
(喜多村クリニック・福岡統合医療センター「ルピナス」院長)
1991年川崎医科大学卒業後、福岡大学筑紫病院外科勤務。97年福岡大学大学院医学研究科卒業。98年白十字病院、99年福岡大学筑紫病院を経て2000年喜多村外科医院勤務。02年喜多村クリニック院長就任。09年福岡統合医療センター「ルピナス」を開設。医学博士。
小井戸 一光【こいと かずみつ】
(癒しの森消化器内科クリニック・札幌がんフォレスト院長)
1977年北海道大学医学部卒業。82年自治医科大学放射線科。85年札幌厚生病院消化器内科医長。96年札幌医科大学放射線科助手、99年講師、07年准教授。イギリス王立マースデン病院、ドイツアーヘン大学、カナダカルガリー大学に出向経験あり。日本内科学会認定内科医。医学博士。
天願 勇【てんがん いさむ】
(統合医療センタークリニックぎのわん院長)
1947年沖縄県うるま市志川生まれ。72年大阪市立大学医学部卒業。72年沖縄県立中部病院。77年国立がんセンター中央病院。82年亀田総合病院。88年ハートライフ病院を開設。2001年統合医療センターを開院。11年国際統合医学会学術集会会頭。日本医学交流協会理事。
堂福 隆一【どうふく りゅういち】
(NPO法人統合医療と健康を考える会特別顧問)
1966年東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部付属病院研修。68年東京都立駒込病院内科勤務。70年シティ・オブ・ホープ・メディカルセンター生物学部〈カリフォルニア〉、73年メモリアル・スローン・ケタリング・癌センター免疫部門〈ニューヨーク〉。75年財団法人癌研究会癌研究所細胞生物部。82年オランダ癌研究所腫瘍生物学部〈アムステルダム〉。83年財団法人癌研究会癌研究所細胞生物部。99年退職。元ニューヨーク科学アカデミー会員・元日本癌学会会員・医学博士。
花牟禮 康生【はなむれ やすお】
(医療法人康陽会花牟禮病院院長)
1982年日本医科大学卒業後、日本医科大学付属第一病院内視鏡科(消化器内科)に入局。92年医療法人康陽会花牟禮病院勤務。日本消化器内視鏡学会指導医・政管健保生活習慣病予防検診嘱託産業医・日本消化器病学会医師・医学博士。
真島 康雄【まじま やすお】
(真島消化器クリニック院長)
1976年久留米大学医学部卒業後、第2内科入局。85年細径の肝腫瘍生検針:Majimaneedleを開発。真島式肝臓麻酔法を考案。88年第1回肝臓学会研究奨励賞受賞。89年久留米大学第2内科講師、90年日本肝炎財団研究奨励賞受賞。93年厚生省がん研究班班員。93年エタノール注入療法に使用する針:ペイターニードルを開発。95年真島消化器クリニック開院。96年PowerPEIT(径皮的肝がん栄養動脈穿刺塞栓術)に成功、方法論を確立。97年パリ(肝―胆道センター)にて肝がんの早期診断とPEITを講演、技術指導。
吉田 年宏【よしだ としひろ】
(吉田医院院長)
1990年近畿大学医学部卒業後、第一外科入局。以後、外科医として第一線でがん治療にあたり、また術前・術後の化学療法も多数経験。96年アポトーシス関連遺伝子であるp53遺伝子の研究にて学位取得(医学博士)。98年大阪市淀川区東三国に吉田医院開業。