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スキルス性胃がんと宣告されたその瞬間、すべての風景が変わりました。瀬戸口 拓世さん(51歳・男性・スキルス性胃がん)2009年取材
病気から得たこと、伝えたいこと
今のお気持ちはいかがでしょう?
感慨深いものがあります。11日前、ちょうど入院から5年目にあたる日に検査を受けました。検査の前、担当の医師が「いよいよ卒業試験ですね」と言ってくれました。
結果として腫瘍マーカーは1.8。腹部CT、エコー、大腸カメラ、上部内視鏡といった画像検査においても『明らかな再発や転移の所見は指摘できません』という診断でした。
抗がん剤から代替医療(フコイダン)に転換されたことも勇気のいる決断だったと思います。
その強い思いを支えていたものとは?
やはり家族です。とくに家内。こっ恥ずかしくて「ありがとう」とはなかなか言えませんが(笑)。
胃を全摘したので、献立や料理にさまざまな工夫をしてもらいました。細かく切ったり、軟らかくしたりと。最初の頃は吐き気もあったので、おにぎりや芋を持って会社に行き、分食しました。それも毎日作ってもらいました。
職場の方々にも感謝しています。手術後も熊本で単身赴任を続けたのですが、上司のはからいで鹿児島に戻ることができました。上司の言葉をそのまま言うと「家族と暮らしなさい」と。万一のことを考え、私に家族と過ごす時間を与えてくださったんだろうなと思います。
がんによって胃はなくされましたが、闘病体験から瀬戸口さんが得たものもあるのではないでしょうか?
普通の生活ができることのありがたさを知ったということです。がんが見つかり、手術をし、それでも腫瘍マーカーは上がり続けた。つねに不安にさいなまれていました。生活のリズムは病院と検査の繰り返しでガタガタに崩れ、物理的な問題、経済的な問題、家内や子どもに対する心配も積み重なってくる。地獄を見たような思いでした。
やがてフコイダンと出会い、真っ暗なトンネルの向こうにほんの少し光が見えてくるような感じがしました。その頃、ある番組に俳優の黒沢年男さんが出演されていて、この方も40代後半で大腸がんになられたのですが、テレビでこんなことを言っていました。「心配してがんが治るものなら、私は心配し尽くします。しかし、何ともならないのなら、心配するだけ無駄ですから、私は心配しないようにしています」と。大事な心構えだと思いました。その頃はマーカーの数値が少し上がっただけで、こちらの統健会支部に来て、浜砂さんに「大丈夫ですかね、まだ生きられますかね」と相談し、いつも叱咤激励されていましたから(笑)。
でも、2年、3年と過ぎ、次第に「行けるぞ」という気持ちに変わってきたんです。手術から4年が経過した頃は人から「どうですか?」と聞かれたとき「大丈夫、大丈夫。まったく問題ないよ!」と、言い切るようにしました。自分自身を鼓舞する意味であえてそう言うようにしました。フコイダンのおかげで私自身強くなれたのかもしれません。
5年が過ぎた今、100%とは言えませんが、ひとまず安全圏に入ったのかなと思います。がん患者の瀬戸口から、元がん患者の瀬戸口に変わってもいいのではないかと。そう思うと、ただ普通にしているだけで、自然に喜びが込み上げてくるんです。普通の生活って、こんなに幸せだったんだ、と。
たとえば75歳まで生きられるとすると、あと25年。病気をしなかったら愚痴を言い、欲を言い、煩悩のままに生きていたと思います。病気を経験したからこそ普通の生活のありがたさを知った。同じ25年にしても、人並みに生きられるありがたさを50歳代で知り得たのは収穫かなと思います。そして、病気を通じ、すべてに感謝できるようになりました。いろんな方と知り合え、いろんな方に支えられて今の自分がある。すべては「ありがとう」という言葉に集約されます。そして、フコイダンと知り合え、統健会と知り合えたことで、フコイダンでのがん治療を知ることができたことも、併せて「ありがとう」と。。。
手術から5年間をクリアして、お祝いは?
じつは来週末、長男のいる東京へ家内と遊びに行きます。毎年12月は夫婦で東京に行ってまして、芝居やラグビーの試合を観たりするんですが、今年はちょっと特別なんです。長男に結婚したいという女性が現れまして、今回はその方とお会いするんです。どんなお話をしたらいいんだろうと今から悩んでいます(笑)。でも、そんなことを考えられること自体がうれしい。世の中から見たら、ごく普通の家族の風景ですが、それが素晴らしいことなんだなと思います。
最後にメッセージを。
がんと聞かされ、ショックを受けない人はどこにもいません。しかし、それで終わらずに、絶対に助かるんだ、道はあるんだと思ってください。生きる道は必ずあると信じ、負けない気持ちを強く持ってがんばってほしいと思います。
(※掲載している体験談は、患者様個人の感想であり、個人差があります。)