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大好きなお酒を断ち、美味しいメロンを育てることへの情熱で今を生きています。N.Tさん(71歳・男性・肝臓がん)2009年取材
見渡す限りの田畑が広がり、畦道には色とりどりの野花が咲いている諸富町。そんな自然の生命力を感じさせる筑紫平野がN.Tさんのふるさとです。青年時代は国体の出場選手であり、農業を継いでからは、明るい性格と責任感の強さから、いくつもの世話役を兼務されていました。
深夜までの会合と心身をすり減らす農作業。その繰り返しが、N.Tさんの体に大きな負担をかけていました…。
お酒が大好きだったと、うかがっていますが。
若い頃から好きでした。昔は機械ではなく、手で稲を刈っていたのですが、不眠で刈り、翌日に寝て、次の夜はまた徹夜で刈るということを繰り返していました。そんなとき一升瓶を持っていって、作業の合間に飲んでいたんです。近所にかかりつけのお医者さんがいるのですが、「あんた、そんなに体をいじめてどげんするか!」と叱られました。
また、寄り合いも多かったんです。私自身、佐賀の専業農家の集まりである『葉がくれ甚八会』の会長を任され、長年やっておりましたし、ほかにも『諸富町メロン部会』など、いろんな集まりの会長をしておりました。田舎のことですから、人が集まれば酒を酌み交わします。昼から夕方まで飲み、別の人が来て、夜遅くまで飲む。それでも私は酔いつぶれるということはなかったんです。みんなからは「酒が強かなぁ」と言われていました。
体力にも自信がありました。若い頃は陸上の中距離と相撲をやっており、国体にも出場しました。中学生たちのスポーツ指導も長くやってきました。
ですから、いつもの定期検診を受けて、診てもらった後、「N.Tさん、エコーで診たところ、どうも腑に落ちんことがあるとですよ。一度、ボクの教授だった真島先生に診てもらえんでしょうか」と言われたときは、「え?」と思いました。2005年9月のことです。