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元がん患者として、人のお役に立てるような仕事はないかと考えています。瀬戸口 拓世さん(56歳・男性・スキルス性胃がん)2014年取材
未来次の生き甲斐を探しています
今後の夢はどうでしょう? ご旅行に行かれるとか?
家内は看護師で、まだ仕事をしているものですから、旅行はもうちょっとしたら、と思っているところです。
個人的なことですが、自宅のある場所の2000区画ほどが区画整理の対象になっていまして、私たちの家も取り壊され、今は借家住まいなんです。しかし、2014年7月には元の場所に新しい家が建つということで、最近まで間取りなどのいろんな決めごとを建築屋さんとやっていました。それもほぼ決まり、1月には地鎮祭というところまでことが運んでいて、家が建ち上がるのを待つばかりという状況です。
7月に引っ越しをして、新しい家で、もしも初孫の顔が見られたらこんなにうれしいことはないなと。楽しみなイベントが続くので、旅行はもう少し先かなと思っています。
瀬戸口さんご自身の目標はありませんか?
私の場合、会社が決めた定年まであと3年半です。定年まで勤め上げればそれでいいのかなと思います。サラリーマン生活は終わるけれど、まだまだ人生は続きます。そうであるからには、次の生きがいみたいなものを探していきたいと思うわけです。
この30数年、ひとつの業務に関わってきました。それとはまったく違う仕事をしてみたいな、と。 じつは、最近、健康や身体に関する仕事をしてみたいなと思っているところです。
それはなぜですか?
私の方が先にがんになっているのに、私が元気を取り戻し、当時、健康だった方ががんを発症され、残念な結果になっているという例がこの10年間でいくつもありました。
病床にいた私をサポートしてくださった上司もつい先日、膵臓がんで亡くなられました。あるいは職場の同じフロアで仕事をしていた方、区画整理で借家に引っ越された方、子どもの友だちのお父さんお母さんなど、とても多くの方ががんでお亡くなりになっています。
また、職場の人からも私にたくさんの相談が寄せられるようになりました。親が、知り合いが、がんになったので、と。病歴のある私に相談するということは、その方も何か得たいものがあるからに他ならないわけですね。ですから、フコイダンのことや統健会のことを話してあげたりしています。私自身の体験もお話します。それは感謝されようと思ってお話ししているわけではありません。何かの力になりたいなと。
家内は医療関係で働いているわけですが、私が今から看護学校へ入学するわけにはいきません(笑)。もちろん医師でも何でもありませんから、病気を減らすことはできませんが、もし自分のやってきたこと、考えてきたことがその方を勇気づけることができるのなら、と。その方が落ち込んでいたとしても、そういう考えがあるのかと思ってくれて、また前向きにがんばっていこうと思う。そうした礎の材料にでもなるのであれば、ありがたいな、うれしいなと思っています。
おこがましいかもしれませんが、要は定年し、隠居生活を送りたくないわけです。元気であれば、何らかの社会参加をしていきたい。10年前の仕事にも行けない状況を経験したことによってそのような思いが生まれたと思います。
具体的な仕事はまだ見つけていませんが、人の何倍も私が経験したのは大きな病気じゃないですか。言葉は変ですけれど、乗り越えてきたものを生かさないと、がんになった甲斐がないということです。おそらく何事もなく、元気な人生を過ごしてきたら、そんな風には思わなかったでしょう。
(※掲載している体験談は、患者様個人の感想であり、個人差があります。)